モトルネ参戦記 其のⅩ
2005/11/23 水曜日 - 10:34:44 by okada しばらく引きこもったあと、オフィシャルの声でグリッドにバイクを並べるためコースに向かった。
雨は相変わらず降り続きクルーたちもカッパを着ているが足元とか頭とか濡れている。誰も仕切ってないのに自分の仕事を黙々とこなしている彼らのおかげで、レースに集中することができた。
ありがとう。
グリッドに並んだ後もタイヤが冷えないようにわずかな時間だがタイヤウォーマーを巻きつけた。すでに選手紹介が始まっていたがそれよりもこの5列目からいかにして前にいる選手たちをかわしていいポジションで1コーナーに飛び込むか?色んなパターンを想定して集中力を高めていく。「ピリリリリリ!」スタート3分前になった。ここからはライダーとスタンド持ち等の補助員以外はコースから出なければならない。手伝ってくれた去るクルーに「ありがとう!」と「やるで!」と言う意味で親指を立てて送った。
「いよいよ始まる・・・。」
「ピリリリリ!」1分前になった。ここからはライダー以外はコース外に出なければならない。そしてエンジンをかけてウォームアップ走行を待った。 (ウォームアップ走行とはスタート前にコース状況の確認、マシンのチェック等確認するため1周する事。) おいらはこのウォームアップでスタート練習とタイヤのグリップ力を確認しようと決めていた。そしてウォームアップ開始!決めていた大体のエンジン回転数でアクセルをあおりスタートした。「イケる!」これならリヤタイヤが空回りすることなく前に出れると確信した。次にタイヤのグリップ力の確認だがこれも1コーナー、車速の乗る2コーナーを探ってみたがこの程度なら滑る気配がない。もっといけると確信した。そしてそこそこのペースで走り、グリッドに到着する前にもう一度タイヤのグリップ感を確かめるため加速、ブレーキを何度か繰り返してグリッドに着いた。
いよいよ誰もが予想すらしなかったレースが始まる!
一番前にいる赤い旗を持ったオフィシャルが全員整列したという意味でコースから退く。そしてコントロールタワーにある信号の赤が点灯する。まわりのマシンの排気音がいっそう高まる!
赤消灯と同時に一斉にスタート!!
おいらはマシンを一気に加速させた。スタートが予定通り上手くいき最初の1コーナーには大体9位くらいで入った。そして2コーナーが迫るおいらの前には何台も重なっていたのでアウト側に行きそれらをかわすつもりだったが、アウト側にも何台もいたため結果、行く手を阻まれる形となり前について2コーナーに入ったが想像以上に遅い!遅すぎる!!
「うおぉ!」
コーナーで一番バイクが寝ている状態で前のマシンにぶつかりそうになり慌てて急ブレーキを握ってしまった。このせいで先頭2台が抜き出る形となりおいらはこの集団から早く出なければ追いつけないと思っていたがダンゴになっているためなかなか抜きにかかれない状態がしばらく続く。
そして裏ストレート後のヘアピンコーナーから仕掛けて行く事にした。リボルバーコーナー、パイパーコーナー、ダブルヘアピンとテクニカルなコーナーが続くセクションで4台をかわしホームストレートに帰って来た時は5位で1周目を通過した。
そして2周目に突入!状況は1位、2位が続き少し離れて3位争いの2台がいておいらは少し離れてその後ろにいた。1コーナー立ち上がりで真後ろに付き、2コーナーに入る。が、たぶんさっきと同じように遅いだろうと判断してラインをずらしてコーナーに入る。正解だった。その2台は並んで入っていったところをおいらはアウトから2台まとめて抜きさった。しかし相手にもプライドがある。裏ストレート後のヘアピンカーブのブレーキングで前に出るが続くリボルバー、パイパーでインを刺し再び3位に出る。その後それらに追いつかれる事は無く離しにかかり、おいらは前を行く2台を追いかけた。2周目のメインストレート通過時は3位だった。この時ピットの面々は大騒ぎだったらしいと後で知る。
単独3位走行となってから追い上げを慣行するが、レース前に
「調子に乗ったらコケますよねぇ」
なんて話をしてたのを思い出した。まだまだバンク角もブレーキングもいけそうだがここで転倒したら元も子もないなと思いちょっとづつペースを上げるしかなかった。そのまま単独走行がしばらく続き、しかもこの状態はペースメーカーがいないためあまり楽しくないしかといって油断も出来ず精神コントロールが難しかったが、しばらくすると周回遅れが出てきた。
チャンス到来!
雨のレースは無理して抜く事が出来ないから安全マージンを確保して必ず抜きにかかるはず。その間にこっちとしては一気に追いつけると思っていた。おいらはミニバイク育ち。抜くのは得意だか周回遅れは5台くらいのダンゴ状態だったから思ったより手こずったが前を行くライダーも同じ事で遠くに見えていた2位が一気に近づいた。
「よっシャー!!」
気分は最高!さらに探りながらだが、ペースを上げて追い上げに行った。
「そろそろファイナルラップだな・・・。」
そう思いながら、周回を重ねる。だんだん近づいていくのがわかる。が、はやる気持ちを抑えないと、それこそ足元すくわれると言い聞かせ冷静にマシンを走らせた。
いよいよ射程距離になった。この差は1秒くらいと思われる。落ち着け!行け!冷静に冷静に・・・だんだん近づいていく・・・ 落ち着け落ち着け・・・ そしてとうとう最終ラップの最終コーナーでは真後ろに付けたが追撃もここまで!最終コーナーを立ち上がりアクセルを開け、マシンを加速させるが差が縮まらず!!
コンマ8秒差の3位でチェッカー!!
くそ・・・終わった・・・。 あと1周あれば・・ いや、最初の1,2コーナーで前に出れてたら・・・
いろんな事考えたが、はたから観てたら面白いレースだっただろうし、こけなかったし、結果オーライかなと言い聞かせ、よしとした。
コースのそばではオフィシャルが敬意と労をねぎらい手を振ってくれている。おいらもありがとう、ありがとうと感謝しながら手を振りながらコースを1周してピットロードに入るためコースのすみにマシンを寄せていた。ダブルヘアピンにお客さんが沢山いたのでガッツポーズしてみた。
これくらいしてもいいよね?
こうして表彰台の下までマシンを進めた。ピット前にはお客さんが笑顔で出迎えてくれたので手を高々と上げた。
あくまで昆走レースなので総合3位という表彰式はないが、上位の常連さん達は口を揃えて「速いね~」と言ってくれたので笑って誤魔化していたが正直いい気分だった。なんせどんな理由があろうとも、某有名選手を抑えての結果なので悪い気はしない。おまけにトップタイムは国際ライセンスライダーだったが2番目はおいらのタイムだった。この秋のモトルネでコースコンディション云々もあり、肩書きのあるライダーも出ていたが、その人らを除けばおいらが一番速いタイムだった。前日までの足回りの不安、予選でのとてもレースにならないタイムとタイヤぶっつけ本番での探りながらのレース、正直どれ一つとってもすっきりしないレースだったが集まってきてくれた沢山のお客さんの笑顔をみてたらもうどうでもよくって素直に結果を喜びあった。シャンパンファイトをしたけどみんなに飲んでもらいたかったのであまり振らずにみんなのところに戻ってシャンパンを一口づつ飲んでもらった。
みんな足元が濡れたり、頭も濡れたり、ピットには腰掛けるとこもろくになかったのに文句一つ言わずおいらをレースに集中させてくれた事、言葉では言い表せないくらいありがたかった。
ホントにありがとうございました。
こうして今年のモトルネッサンスは終わった。
・春のモトルネ 総合5位 MT1クラス優勝 決勝ハーフウェット・夏のモトルネ 欠場 決勝ウェット・秋のモトルネ 総合3位 MT1クラス優勝 決勝ウェット
来年は是非ドライで走りたいと心から思うわ。雨はすっきりせんし・・。詳しいリザルトは↓までhttp://www.motorenaissance.jp/index2.html
長編をここまで読んでいただきありがとうございます!
写真提供全て しんさん
